「いろは歌」は,このような仏教の真理を表す高度な内容を読み込んだものであるが,作者についてのてがかりはまったく残っていない。現在では国語学的な理由から否定されているが,昔から「弘法大師空海」作者説が広く流布していた。

万物は常に生成・変化・消滅しており,
一時もとどまってはいない
色は匂へど 散りぬるを
諸行無常 ショギョウ ムジョウ
生あるものは必ず滅びる
我が世誰ぞ 常ならむ
是生滅法 ゼショウ メツホウ
生まれ死ぬという無常の現世を超越して,
悟りの境地に至り
有為の奥山 今日越えて
生滅滅已  ショウメツ メツイ
煩悩に満ちた現世を脱し,
生死の苦から解き放たれたとき,
真の楽しみの境地が開かれる
浅き夢見じ 酔ひもせず
寂滅為楽 ジャクメツ イラク